目がかすむ(霧視)

目のかすみセルフチェック

以下の症状を「目がかすむ」といいます。確認してみましょう。

目がかすむ(焦点が合わない)とは

目がかすむ(焦点が合わない)とはかすみ目とは、視界がぼやけて物がはっきり見えない状態です。目はカメラのレンズのように、対象物に焦点を合わせて認識しますが、この機能が低下すると、目がかすんでよく見えなくなります。
焦点が合わない、白くかすんで見える、薄く霧がかかったように見える、鮮明に見えないなど、症状は多岐にわたります。また、目の前を歩いている人の顔がよく認識できない、新聞の文字や、テレビの字幕が読みにくいなど、日常生活で実際に視界の変化を訴える方もいらっしゃいます。いずれの場合も、「かすみ目」とは、「目がかすむ、ぼやける」状態を言います。

目がかすむ原因

ドライアイ

ドライアイドライアイ(乾性角結膜炎)は、目の乾燥、疲れ、充血、涙目、異物感や痛みなど、様々な症状に伴って、涙の状態が不安定になる状態を言います。涙は、液体と油の層に分けられます。涙の油分は、瞼の中にあるマイボーム線というところから、分泌されます。ドライアイの8割以上は、油分が不足しているとされています。
眼球を覆っている涙は、表面の角膜を滑らかにして、カメラのレンズのような機能の重要な役割を果たしています。しかし、ドライアイによって涙の量が減ったり、成分のバランスが崩れたりすると、目の表面は滑らかではなくなります。瞼と角膜や結膜が擦れると、異物感や、ゴロゴロ感などが出てきますし、悪化すると角膜に傷ができて視力が低下する原因ともなります。その結果、レンズとしてうまく働かなくなり、目のかすみや、視界の悪化を引き起こします。当院では、様々な種類のドライアイ治療用の目薬の中から、患者様の目の状態に合う適切な目薬を処方するとともに、マイボーム線からの油分の分泌を促すためにアイシャンプーやホットアイマスクのご使用を推奨しています。受付けで取り扱っておりますので、ご相談ください。

老眼・スマホ老眼

目には水晶体と呼ばれる構造があり、対象物を見る際にカメラのレンズのような機能を果たします。若い方の水晶体は、柔軟に厚みを変化させることで、距離に応じてピントを自動的に合わせることができます。しかし、加齢とともに水晶体は硬くなり、水晶体の厚みを変えることができなくなります。老眼は加齢とともに水晶体が硬くなり、焦点が合わせづらく、合わせられる範囲が狭くなり、目がかすみやすくなる状態です
老眼は手元が見えづらくなるものと思われる方が多い印象ですが、水晶体のピント調節力が失われてくると、遠くも見えにくくなりますので、老眼鏡だけではなく、遠近両用メガネが必要となることも多いです。また老眼が出てくると眼鏡が2-3年で合わなくなりますので、定期的に眼鏡チェックと視力検査を受けましょう。

スマホ老眼

スマートフォンなどの見過ぎも、目の焦点が合わせにくくなる一因となります。これは画面を長時間見続けることで目のピント調節に働く毛様体筋が凝り固まることが原因であり、年齢に関係なく20~30代の方にも見られる症状です。スマホ老眼の方は、スマートフォンを長時間見た後で目がかすんだり、物が見えにくくなったりします。

目の使い過ぎ

目の使い過ぎパソコンやスマートフォンなどのディスプレイを日常的に使用するVDT(Visual Display Terminals)作業をする方にとって、目の酷使はかすみ目の一因と考えられています。
VDT作業で目がかすむ原因は2つあり、1つ目は画面を見続けることで目の筋肉が常に緊張状態になり、焦点がうまく合わなくなること、2つ目はVDT作業中、画面に意識が集中するため瞬きの回数が減り、ドライアイになりやすいことです。その結果、涙が角膜の表面を滑らかに覆うことができず、目全体のレンズとしての機構がうまく機能しないため、かすみ目を引き起こします。

角膜の傷

角膜の傷も、かすみ目を引き起こす一因と考えられています。角膜は目の表面を覆う透明な薄い膜で、傷つくと目の中で光が散乱し、像を正しく網膜上に投影することが再現することが難しくなります。
角膜は厚さ約0.5mmの薄い膜が層になっており、その最外層は角膜上皮と呼ばれる組織です。角膜上皮は涙で覆われており、刺激や摩擦によって傷つきやすい性質があります。
角膜上皮が損傷すると、損傷を修復するために細胞が増殖します。角膜上皮の細胞が再生するには通常1~4週間かかります。ただし、目の酷使により角膜が頻繁に損傷を受けると、角膜上皮の再生が間に合わなくなることがあります。パソコンやスマートフォンを長時間使用する方や、コンタクトレンズを装着している方、またドライアイの方は特に注意する必要があります。また、角膜上皮は日光の紫外線を長時間浴びると傷つくことがあり、雪山でのスキー・スノボや、海での釣りや海水浴をする際には、サングラスを着用するなど太陽光への注意が必要です。

白内障

目の中の水晶体は、レンズのような原理で、光を通して像を結ぶ機能を果たしています。水晶体の色は透明ですが、加齢とともに白く濁っていき、これを白内障と言います。
白内障は、視力低下、目のかすみ、視界のぼやけ、眩しさが増す病気です。暗い所で物を見るのが難しくなることもあります。具体的には、夜間の車のライトや蛍光灯がまぶしい、手元が見えにくくなった、眼鏡屋さんでは視力が出にくくメガネを作れなかったなどのきっかけで受診されることが多いです。

急性緑内障発作

視神経は、網膜からの光や色の情報を脳に伝える重要な役目を果たしています。この視神経が障害され、視野が欠ける病気が緑内障です。進行は徐々に進むため、初期段階では気づきにくいことがありますが、時には眼圧が急激に上がることもあります。これが急性緑内障発作と呼ばれる状態です。
急性緑内障発作では、目のかすみ、目の痛み、激しい頭痛、目の充血、吐き気、嘔吐などの症状が現れ、迅速な治療が必要とされます。そのため、目に何か異常を感じた場合は早めに医師の診察を受けることが重要です。目がかすみ、頭も痛く、吐き気があるとまずは救急外来を受診される方もおられますが、脳梗塞や脳出血を疑って頭の検査に異常がないと、生命の危機はないと判断されて、そのまま帰宅となることもあります。通常救急外来では眼科の診察を受けられないことがほとんどですので、その後に眼科も受診するようにしましょう。

糖尿病網膜症

糖尿病は血糖値の高い状態が続く病気であり、全身の血管に負担がかかりやすくなります。目の網膜には多くの毛細血管が集まっているため、高血糖の影響を受けやすい部分であると言えます。
糖尿病網膜症になると、気づかない間に網膜の血管が詰まったり、破裂したり、出血したりして、視力が低下することがあります。さらに進行すると、網膜剥離や糖尿病による難治性緑内障(血管新生緑内障)を発症して、失明のリスクも上がります。
糖尿病と診断されたら、かすみ目などの自覚症状が現れる前に、眼科で定期検診を受けることをお勧めします。糖尿病網膜症を悪化させる要因には、血糖値はもちろんのこと、コレステロールや中性脂肪、血圧、腎機能の数値なども関わっています。血糖コントロールの治療と並行して、その他の体の病気の治療を続けることもとても重要です。

目のかすみがある場合の対処法

目のかすみが長引く場合は、病気によってかすみ目が進行している可能性もあるので、早めに眼科を受診することをお勧めします。
また、加齢による目のかすみ(目やにが多い場合など)や、目の酷使、目の疲れなどが気になる場合は、点眼薬を使用するのも一案です。角膜の損傷は目のかすみ以外にも目に様々な症状を引き起こしますので、角膜修復成分が配合され、それぞれの症状に合った点眼薬を使用することで、細胞の再生を促し、症状を和らげることがお勧めです。
その他、目のかすみを予防するためにできることは以下の通りです。

スマートフォン・パソコンの使用は適度にする

パソコンやスマートフォンを長時間使用すると、目のかすみなどの症状が現れやすくなります。仕事などで長時間使用することが多い方は、1時間に1~2分の割合で休憩時間を設け、連続して1時間以上、電子機器を使用しないようにしましょう。
また、画面の文字が小さいと目がかすみ、疲れやすくなります。画面の文字の大きさは3mm以上が望ましいとされます。普段お使いのパソコンの設定画面で文字サイズを調節してみてください。

涙の蒸発に注意する

涙が蒸発して目が乾燥すると、視界が悪くなったり、目に傷がついたりと、目への負担が増えます。パソコンやスマートフォンの使用時間が長く、空調の空気にさらされることも多い現代社会は、目が乾燥しやすい環境と言えます。しかし、日常的にいくつかの工夫をすることで、目の乾燥を和らげることができます。
例えば、意識的に瞬きすることから始めてみましょう。瞬きをすると涙が目を濡らし、快適な状態になります。また、涙を補う点眼薬を使うのもお勧めです。涙は、液体と油の層に分けられます。涙の油分は、瞼の中にあるマイボーム線というところから、分泌されます。ドライアイの8割以上は、油分が不足しているとされています。
マイボーム線からの油分の分泌を促すためにアイシャンプー(瞼の専用シャンプーで目にしみにくい成分のシャンプー)やホットアイマスク(電子レンジで繰り返し温めることができるマスク)のご使用を推奨しています。目は冷やすより温めるほうが、血流が良くなりおすすめです。アイシャンプーやホットアイマスクは、当院で取り扱っておりますので、ご相談ください。

自分に合うコンタクトレンズを選択する

ご自身の目に最適なコンタクトレンズを選び、定期的に眼科で検査を受けることをお勧めします。眼科では、涙の状態やレンズのフィット感、目の状態などを調べ、レンズが目に合っているかどうかを確認できます。目の健康を維持するためにも、定期的な検査は重要です。また、新しいレンズを購入する際などには、必ず検診を受けることをお勧めします。

点眼薬に角膜修復成分が配合されているか確認する

角膜上皮の細胞は、古い細胞から新しい細胞へと定期的に生まれ変わります。この過程を角膜のターンオーバーと呼びます。通常、角膜のターンオーバーは約5~7日で1周期を完了し、その間に細胞が新しく生まれ変わります。しかし涙の状態が不良な場合、角膜のターンオーバーが円滑に進まず、角膜の傷が治りにくくなります。角膜の傷を早期に治すためには、角膜修復成分配合の点眼薬が効果的です。角膜修復成分とは、涙の蒸発予防に働く油分の分泌を促したりして、涙の被膜効果を保持する成分のことです。点眼薬の使用により、角膜のターンオーバーが正常な状態に回復しやすくなります。

糖尿病で目がかすむ?

網膜には視神経があり、光を電気信号として脳に送ったり、毛細血管を通して酸素や栄養を送り届けたりしています。
糖尿病で血糖コントロールが悪くなると、特に毛細血管が閉塞して障害が起こります。
また過剰な血糖により血管に炎症がおこり、網膜の血管が脆くなり破損すると、血液中の液体がもれて網膜がむくんだり、タンパク質や脂質が網膜に沈着し、目がかすむ原因となります。
また、糖尿病の方は涙の分泌量が少なくなり、瞬きの回数も減るため、ドライアイになりやすく、目のかすみを引き起こしやすくなります。

ストレスで目がかすむ?

眼精疲労とは違って目への負担ではなく、日常の人間関係や仕事のストレスが自律神経の乱れに繋がり、それが目のかすみを引き起こすことも報告されています。肩こりや首のこりがひどくなると目のかすみにつながることもあります。また、ストレスは下痢や便秘、肌荒れなどの症状に繋がることもあり、目のかすみもこれらの症状の1つであると考えられています。

TOPへ