視神経乳頭陥凹拡大

視神経乳頭陥凹拡大とは

視神経乳頭陥凹拡大とは人間ドックや眼科検診などで「視神経乳頭陥凹拡大」と指摘を受けたら、緑内障を疑いましょう。眼底には、物を見るために重要な神経細胞である網膜神経節細胞が片目につき約100万個ほど存在します。緑内障は、これらの細胞が何らかの原因で徐々に死滅・減少し網膜神経節細胞の約50%が減少すると視野障害が出てくる病気です。一度細胞が死滅すると細胞が再生することはなく、さらに視野の欠損が進んでいく病気です。
日本では40歳以上の20人に1人、60歳以上の10人に1人が緑内障と推定され、現在の失明原因の第一位を占めている罹患率の高い病気です。緑内障は気づかないうちに進行し、一度失った視野は回復することがないため、早期発見・早期治療が重要とされています。視野欠損が進行する一番の原因は眼圧ですので、眼圧を下げる治療を継続的に行うことで、生涯にわたり視野を保てる可能性が高くなります。

「乳頭出血」にも注意が必要

陥凹拡大の他に、「視神経乳頭の出血」が指摘される場合もあります。これは、出血部分の視神経が脱落してきていることを示し、今後、緑内障へ進行する可能性が高いと考えられています。特に、眼圧が高くないのに視神経の脱落が進む「正常眼圧緑内障」との関係が深いため、乳頭出血が指摘された場合は、眼圧の状態に関係なく再検査を受けてください。そして、緑内障が確認された場合は、将来の失明を防ぐために適切な治療を続けましょう。

視神経乳頭陥凹拡大を指摘された際の検査

視神経乳頭陥凹拡大の原因となる病気を診断するために行われる検査は、次の通りです。

眼圧検査

正常な眼圧は10mmHg~21mmHgとされています。眼圧が正常範囲より高い方は緑内障の疑いがあります。一方、眼圧が正常範囲でも緑内障性視神経障害が起こる「正常眼圧緑内障」という緑内障もあり、日本では緑内障の約70%を占めています。また、眼圧は角膜の厚みにより測定結果が変化しますので、必ず角膜の厚みの測定も必要です。特に、近視治療のためにレーシックを受けられた方は、角膜の厚みが大変薄くなっており、眼圧が低く測定されてしまうため、油断は禁物です。

視野検査

静的視野検査により、緑内障に特有の視野異常を検知します。当院では、最新のアイモを導入しています。アイモは、両目を開けたまま検査を行うことができ、さらに検査時間が短縮されていますので、患者様の検査負担が軽減されます。

光干渉断層計(OCT)

緑内障では網膜が薄くなるため、OCTで網膜の厚さを計測することで診断します。計測は視神経乳頭周辺と黄斑部で行います。眼科医による目視での眼底検査では検出できないわずかな異常も検出することができます。

眼底検査

細隙灯顕微鏡を用いて診察を行います。また、眼底カメラ撮影により、網膜と視神経を検査します。

視神経乳頭陥凹拡大で考えられる病気

視神経乳頭陥凹の拡大が見られる場合、緑内障が疑われます。20年ほど前まで、緑内障は治療しても失明のリスクが高い病気とされていましたが、現在では点眼薬によって多くの場合、病状の悪化を防ぐことができるようになりました。

視神経乳頭陥凹拡大は生まれつきなることもある?

視神経乳頭陥凹は生まれつきの場合もありますが、緑内障によって陥凹が拡大することもあります。

視神経乳頭陥凹拡大の初期症状

初期の段階では、ほとんどの症例で自覚症状はありません。病気が進行すると、進行の程度によっては視野欠損や視力低下が起こります。緑内障では、見えにくいなどの自覚症状が出た時点では、すでに視野障害がかなり進行していることが多く早期発見と治療が大切です。

視神経乳頭陥凹拡大は治療の必要ないこともある?

健康診断などで「陥凹拡大」を指摘されても、必ずしも病的な症状ではなく、治療の必要がない場合もあります。実際には、再検査結果の大半はこれに当てはまります。そのほとんどは、生まれつき視神経乳頭が大きいです。
視神経は約100~120万本の神経線維から成り立っており、これは誰でもほぼ同じです。しかし、視神経乳頭の大きさは0.8~4.5mm2と個人差が大きくあります。視神経の数は同じでも、視神経乳頭の大きさが違うので、陥凹の大きさも様々になります。つまり、視神経乳頭が大きい方ほど、陥凹も大きくなるのは自然な現象と言えます。これが健康診断の眼底検査において、「陥凹拡大」として診断されてしまいます。
もちろん、この状態は陥凹が単に「大きい」だけであり、「拡大」しているわけではありません。したがって、緑内障などの病気や異常とは関連しません。

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